ロンドン証券取引所(LSE)グループは9日、ミラノ証券取引所を運営する傘下のボルサ・イタリアーナを、競合のユーロネクスト(オランダ)に売却することで合意したと発表した。金融情報サービスの英米リフィニティブの買収に向け、欧州委員会から承認を得るための対応で、売却額は43億2,500万ユーロ。取引が実現すれば、ユーロネクストは欧州連合(EU)域内で六つの取引所を運営する最大手となる。
ロンドン証取は昨年8月、リフィニティブを約270億ドルで取得することで合意。欧州委は今年6月、両社が合併すれば欧州金融市場での取引や清算、金融データの提供といった分野で競争を阻害する恐れがあるとして、本格調査を開始した。ロンドン証取はこれを受け、ボルサ・イタリアーナの売却を決定し、9月にユーロネクストと独占交渉入りしていた。
ただし、ボルサ・イタリアーナの売却取引は、欧州委がリフィニティブ買収を承認する条件としてボルサ・イタリアーナもしくはミラノ証取を含む同社の事業の一部売却を命じた場合にのみ成立する。欧州委は12月16日までにリフィニティブ買収に関する承認の是非を最終判断する予定。
ユーロネクストは既にパリ、アムステルダム、ダブリンなどで証券取引所を運営し、ミラノ証取を傘下に収めれば、傘下証取の上場企業の時価総額は合わせて4兆4,000億ユーロ超、取引額は1日当たり計300億ユーロに上る。ユーロネクストのステファン・ブジュナ最高経営責任者(CEO)は「この取引は当社の歴史の転換点となる」と話している。[M&A][EU規制]
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