欧州連合(EU)は1日、ブリュッセルで首脳会議(サミット)を開始した。2日間の日程で、トルコの東地中海問題やEU・中国間の関係、大統領選挙の結果に対する大規模な抗議デモが続いているベラルーシへの対応などを協議する。
うち、東地中海問題を巡っては、トルコは昨年、東地中海での探査活動に向けて、リビアの暫定政権とギリシャ領クレタ島の近海を両国の領海の境界とする覚書に調印。その後、同海域に探査船や軍艦を派遣したことから、ギリシャやキプロスが自国の領海を侵したと強く反発している。
今年8月にはトルコとギリシャの軍艦が衝突事故を起こしたことから両国間の緊張感が一時的に高まっていたが、トルコは9月半ばに探査船を引き揚げ、ギリシャと2016年から中断されている領海問題を巡る協議を再開することで合意。トルコに経済制裁を科す可能性を示唆していたEUも態度を軟化させる可能性があるとみられいている。
対中国関係を巡っては、EUと中国は年内の投資協定を目指しているが、協議は難航している。今年3月に予定していた対面での首脳会議は新型コロナウイルスの流行を受け延期。これに代わり6月と9月にテレビ会議を行ったが、中国政府による香港での「国家安全法」導入や気候変動対策などへの不満が解消されず、今後の交渉方針を決める必要がある。
一方、ベラルーシに対しては、EUは8月、市民に5,300万ユーロの支援を行う一方、デモ弾圧者に経済制裁を科す方針を決定した。ただ、先のEU外相理事会では、ルカシェンコ大統領を含む政府関係者に対する制裁をキプロスが拒否。キプロスは、同大統領を支持するロシアと良好な関係にあるためで、首脳会議では同案件の協議を続行する。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。