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英、新雇用維持制度を発表 来年3月まで継続も政府負担は縮小

英国のスナク財務相は24日、新型コロナウイルス危機から企業と雇用を守るための「冬季経済計画」を発表した。10月末で打ち切られる「コロナウイルス雇用維持制度」に代わり新たな「雇用サポート制度」を導入し、パートタイムで仕事に復帰した従業員の賃金を補助するほか、飲食店などのVAT(付加価値税)税率引き下げを来年3月末まで延長する。英国では感染の再拡大を受け新たな制限措置が導入されたこともあり、失業者急増への懸念から新たな対策を求める声が強まっていた。

政府は3月、一時帰休中の従業員の賃金を政府が負担する「コロナウイルス雇用維持制度」を導入。その後、政府の賃金負担率を当初の80%から70%に引き下げ、期間を2度にわたり延長したが、スナク財務相はこれ以上の延長はしないと宣言していた。

今回、後継措置として打ち出された「雇用サポート制度」では、通常の3分の1以上の勤務時間で復帰した従業員を対象に、政府と雇用主が残りの時間分の賃金の3分の1ずつを支払う。政府の負担分の上限は月697.92ポンド。期間は6カ月間で、すべての中小企業が申請できるが、大企業は新型コロナ危機によって売り上げが減った事業主のみが対象となる。この制度を利用して従業員を仕事に復帰させた企業には、従業員1人当たり1,000ポンドの報奨金も併せて支払う。

個人事業主に対しては、政府が所得を補助する現行の支援策を、企業従業員と同等の条件で継続。月額1,875ポンドを上限に平均利益の20%を政府が補助する。期間は来年1月末までとするが、状況によっては4月まで何らかの補助を続けるとしている。

小規模企業を対象とした政府保証100%の融資制度「バウンスバック・ローン(Bounce Back Loans)」は、返済期間を6年から10年に延長するほか、経営が悪化した場合には金利のみの支払いや返済猶予の申請を認める。「事業中断ローン」も返済期間を延長する。いずれのローンも受付を11月末まで延長し、現行の融資制度の終了後に向けては後継の新融資制度を打ち出すとしている。

新型コロナ危機の打撃が大きい飲食店や宿泊業、娯楽施設に対しては現在、来年1月12日までの予定でVAT税率を20%から5%に引き下げているが、これを3月末まで延長する。加えて、業種を問わず経営が悪化している企業には、VAT延滞分の無利子分割払いを認める。

スナク財務相は「感染対策の制限措置が今後6カ月以上続くことは明らかで、国内経済は一時的な混乱から恒久的な調整へと移行しつつある」と指摘。「すべての雇用を救うことは不可能だ」とした上で、「存続可能な雇用はできる限り保護し、こうした職務に就く人々の仕事への復帰を支援する」と話している。[労務]


関連国・地域: 英国
関連業種: サービスマクロ・統計・その他経済雇用・労務

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