英国で1日、新型コロナウイルス対策の影響で一時帰休となった従業員の賃金を補助する「コロナウイルス雇用維持制度」の政府の賃金負担率が、従来の80%から70%に引き下げられた。企業など雇用主が10%を負担する。
この制度は、一時帰休中の従業員の賃金を政府が負担することで、失業者の大量発生を防ぐのが狙い。当初は3~5月の3カ月分の補助を予定していたが、政府はこれを2度にわたり延長しており、10月末までの継続が決まっている。
当初は一時帰休中の従業員の賃金を月額2,500ポンドを上限に80%まで補助するとともに、国民保険料および年金の雇用主負担分も政府が肩代わりしていたが、8月からは社会保障負担を雇用主に差し戻した。9月からは、政府の負担率だけでなく、上限も月額2,187.5ポンドに引き下げる。10月には政府負担を60%、上限を月額1,875ポンドとする一方、雇用主負担を20%に拡大する。
欧州ではドイツやオーストリアなどが雇用維持に向け賃金補償制度の延長を決めているが、スナク英財務相はかねて、更なる延期は行わない意向を表明。代替策として、雇用を維持している企業向けの報酬制度や、ホスピタリティー産業向けの付加価値税(VAT)の引き下げなどに注力する考えだ。
英国ではこれまで、950万人以上がコロナウイルス雇用維持制度を利用しており、これに伴う財政負担は350億ポンドを突破している。ただ、同制度が終了すれば、同国の失業率は1980年代以降で最高の水準まで上昇する見込み。小企業連盟(FSB)の調査では、加盟企業の23%が人員削減を視野に入れていると回答している。[労務]
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