英政府統計局(ONS)は12日、2020年第2四半期(4~6月)の国内総生産(GDP、速報値)が前期比で20.4%縮小したと発表した。過去最大の落ち込み幅となった上、第1四半期の2.2%減から2四半期連続のマイナス成長で、金融危機が直撃した09年以来のリセッション(景気後退)入り。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)を受けて導入した封鎖措置の影響が大きく反映されている。
産業別に見ると、英経済の原動力であるサービス業は19.9%縮小。前期の2.3%減からマイナス幅が拡大した。うち流通・ホテル・レストランが大きく33.1%落ち込んだほか、自動車販売を含む運輸・倉庫・通信は18.3%縮小。ビジネスサービス・金融は11.8%減っている。
鉱工業は16.9%減少し、前期の1.5%減から落ち込みが加速。うち製造業は大きく20.2%縮小している。電気・ガス・蒸気・空調供給は8.8%、採鉱・採石は7.3%それぞれ減少した。水道・下水・廃棄物処理も5.6%減っている。
建設業は35%のマイナス。農林水産業は4.8%縮小した。
GDPは前年同期比では21.7%減少。前期の1.7%減からこちらも落ち込みが加速した。スペインのマイナス22.1%よりは影響を抑えたが、米国やドイツに比べると2倍程の下落幅となった。なお、英国のGDPは昨年第4四半期と比べると22.1%縮小している。
ONSは今回の結果について、英政府の封鎖措置によって最も影響を受けたサービス業、製造業、建設業で過去最大の落ち込みが見られたとコメント。個人消費の減退が主な押し下げ要因になったとしている。スナク財務相は、景気悪化により向こう数カ月間で失業者数が増加するとの懸念を示している。
一方、6月単月で見ると、GDPは前月比8.7%拡大。5月の2.4%から伸びが加速し、封鎖措置の緩和に伴う回復基調が伺える。それでも英国で新型コロナウイルスの流行が本格化する前の2月と比べると17.2%縮小している格好だ。
英中銀イングランド銀行は先に、第2四半期のGDPは昨年第4四半期に比べて20%以上縮小するものの、通年の成長率は前年比でマイナス9.5%にとどまると予想。5月時点のマイナス14%の予測に比べて、悪化の程度は抑えられるとみる。一方で来年は9%拡大するとし、従来見通しの15%増から下方修正。経済が新型コロナウイルス流行前の水準に回復するのは21年末になるとしている。22年は3.5%増を見込んでおり、5月時点の3%からやや引き上げた。
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