欧州連合(EU)は17~18日、首脳会議(サミット)を開催する。約5カ月ぶりに対面で開かれる今回のサミットでは、新型コロナウイルス危機を受けた総額7,500億ユーロの復興計画を巡り、合意が成立するかどうかが注目されている。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、EUサミットはすべてビデオ会議方式で行われていた。加盟各国の首脳が実際に一堂に会するのは、2月の臨時サミット以来となる。
欧州委員会が5月に提案したこの復興計画は、加盟各国の経済回復に向けた公共投資や改革を支援する総額5,600億ユーロの「復興・回復ファシリティー」を目玉とし、総額7,500億ユーロの資金は欧州委が市場で調達する方針。
ただ、「倹約派4カ国」と称されるオランダとデンマーク、オーストリア、スウェーデンはこれに反対している。特に、EUの債務が拡大することと、復興資金の多くが新型コロナウイルス流行の打撃が大きい南欧諸国に振り向けられることを問題視しており、補助金ではなく融資の形を取り、融資条件として対象国に経済改革を求めるべきと主張している。また、ここへきてフィンランドもこれに同調しており、5カ国が他の加盟国の説得に応じるかどうかが焦点となる。
BBC電子版によると、オランダのルッテ首相は「倒れるまで戦う。オランダも苦労しているが、苦境への備えがあるからこそ切り抜けられる」と話す。一方、スペインのサンチェス首相は「対応が遅れれば回復が遅れ、危機が悪化する。合意に達するためには、どの国も何らかの犠牲を払う必要がある」としている。
市場では、野村総合研究所が「合意がまとまるかどうかは五分五分」とみる一方、オランダの金融大手INGグループは、「妥協に向けた進展はあるが合意にはさらなる時間が必要」との見方を示している。
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