ドイツ政府は3日の閣議で、新型コロナウイルス危機からの経済回復に向けた総額1,300億ユーロの刺激策を決定した。VAT(付加価値税)の減税や、子ども手当の支給、電気自動車(EV)購入支援策の拡大などの案が含まれている。
政府は7月1日から年末までの間、VAT税率を現行の19%から16%に引き下げるほか、子ども1人当たり300ユーロの一時金を支給し、ひとり親世帯ではこれを倍増する方針。また、2021年から再生可能エネルギー法(EEG)に基づく賦課金を引き下げる案や、地方自治体の財政支援に向けた措置も打ち出している。
自動車産業向けの支援を巡っては、業界側はガソリン・ディーゼル車も対象とした購入支援策を求めており、メルケル首相が所属する中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)もこれを後押ししていた。しかし、連立政権に参加する中道左派・社会民主党(SPD)が強く反対したため、最終的に現行のEV購入支援策の補助金を倍増することで落ち着いた。
経済刺激策にはこのほか、人工知能(AI)や量子コンピューティングなどの研究促進に500億ユーロを投じる計画も含まれる。また、今回の危機で大打撃を受けた飲食店・宿泊業の資金繰りを支援するため、6~8月に限り総額250億ユーロのつなぎ融資を実施する方針。
総額1,300億ユーロの刺激策はいずれも今年度中に実施する。うち1,200億ユーロは連邦政府が拠出し、一部を新規借り入れで賄う方針。ショルツ財務相は、「この危機を勢いよく脱したい」とコメント。「過去数年に節約してきたからこそ、こうした措置が取れる」と話している。
政府は3月、新型コロナウイルス感染拡大の影響緩和に向け総額7,500億ユーロ超の支援策を発表。1,560億ユーロの補正予算を組むほか、企業の債務保証や株式購入に向けた6,000億ユーロの基金を設置する内容で、これに向け7年ぶりに新規国債を発行するとしていた。[環境ニュース]
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