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賃金補助を10月末まで再延長 英政府、失業者の大量発生回避へ

英国のスナク財務相は12日、新型コロナウイルス対策の影響で一時帰休となった従業員の賃金を補助する「コロナウイルス雇用維持制度」を10月末まで再延長すると発表した。同相は先に、現行水準では政府の負担が大きく継続は困難との見方を示していたが、失業者の大量発生を避けるため延長を余儀なくされた格好となる。ただ、8月以降は制度を見直し、雇用主にも負担を求めるとしている。

この制度は、感染対策の影響を受ける企業が従業員を解雇するのを避けるため、一時帰休中の従業員の賃金を月額2,500ポンドを上限に80%まで補助するもの。4月20日に申請受け付けを開始し、当初は3~5月の3カ月分の補助を予定していたが、6月末まで延長されていた。英国では企業が100人以上の整理を行う場合、遅くとも45日前までに労働組合と協議する必要があるため、同制度の終了に合わせて従業員の解雇を狙う企業が5月18日に一斉に人員整理を発表する恐れが浮上していた。

同相は再延長の発表に当たり、「この制度に頼る人々を見捨てるつもりはない」と言及。7月末までは従来通りに継続した上で、8月からは従業員のパートタイムでの復帰を支援する一方、雇用主に賃金補助の一部負担を求める方針。詳細は5月末までに公表するとしている。

英商工会議所(BCC)は、同制度の延長は「雇用主と従業員に大きな安心感を与える」と歓迎。製造業界団体のメークUK(旧エンジニアリング事業者協会)は、「同制度の終了に伴う大量解雇が避けられた」とした上で、「特効薬はなく、政府にも産業界にも柔軟さが必要」と指摘している。

政府によると、同制度への申請企業は約93万5,000件に達している。補助の対象となる従業員は750万人と、民間企業が雇用する従業員の27%に上り、これまでの払い出し額は101億ポンドとなっている。民間シンクタンクの財政研究所(IFS)によると、同制度を10月末まで延長した場合、政府の負担は1,000億ポンド近くに上る見通し。[労務]


関連国・地域: 英国
関連業種: マクロ・統計・その他経済雇用・労務

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