ジョンソン英首相は20日、この日夜から国内のすべての飲食店や娯楽施設の営業停止を命じると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため。スナク財務相は、こうした措置による失業者の増加を避けるため、休業中の従業員賃金の80%を政府が補助する臨時制度を打ち出した。政府がこうした措置をとるのは史上初めて。
営業停止を命じられるのは、パブやレストラン、カフェなどの飲食店や、スポーツジムやナイトクラブ、映画館、劇場など、人が集まる店舗や施設。持ち帰りや出前のサービスや、小売店は引き続き営業できる。営業停止命令は、1カ月ごとに更新するかどうかを検討する。
ジョンソン首相は、これは国民に対する外出禁止命令ではないとした上で、「外出する場合には、社会的接触の少ない形で出かけてほしい」と述べた。なお、主要交通網の閉鎖を命じる計画はないとしている。
■月額2,500ポンドまで賃金補助
スナク財務相はこの日、ジョンソン首相と共に新型コロナウイルス対策の定例会見に出席。感染対策の影響を受ける従業員の賃金を月額2,500ポンドを上限に80%まで補助する「コロナウイルス雇用維持制度」の設立を発表した。すでにレイオフ(一時解雇)された従業員にも配慮し、3月1日までさかのぼって申請できるようにする。少なくとも向こう3カ月以上にわたり支給を続け、補助金の総額に上限は設けない。
また、先に発表した小規模企業向けの「事業中断ローン」の対象を大・中規模企業にも拡大し、無利子の融資期間を6カ月から1年に延長する。加えて、企業のキャッシュフローを支援するため、全企業を対象にVAT(付加価値税)の納税を6月末まで免除する。これにより、300億ユーロを経済に還元できるとしている。
同相はこのほか、個人事業主にも法定病休手当てと同額の補助を支給することや、総額10億ポンドを投じて住宅家賃の30%を補助する方針も示している。
同相は、大・中規模企業の資金繰り支援に向けた措置を23日以降に発表するとしている。
スナク財務相は先に発表した2020/21年度の予算案で、ウイルス感染拡大による国内経済への打撃緩和に向け総額70億ポンドの対策を打ち出した。しかし、英政府はその後に感染防止策を大幅に強化し、社会的交流の制限を助言したため、ホスピタリティーや小売り、航空産業が大きな打撃を被っている。このため、同相は17日、総額3,300億ポンドの政府保証付き融資や、ホスピタリティー産業向けの措置を含む大規模な企業支援策を発表していた。[労務]
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