英国のスナーク財務相は17日、新型コロナウイルス対策により影響を受ける企業のための大規模な支援策を発表した。総額3,300億ポンドの政府保証付き融資や、打撃の大きいホスピタリティー・小売り業界向けの事業税免除、住宅ローン返済の凍結などを打ち出している。
同相はこの日、ジョンソン首相と共に政府が毎日実施する新型コロナウイルス対策の記者会見に出席。国内総生産(GDP)の15%に相当する3,300億ポンド相当の融資保証を提供し、必要ならさらにこれを拡大する方針を明らかにした。また、先の予算案で発表した小規模企業向けの「事業中断ローン」の規模を最大120万ポンドから500万ポンドに拡大し、来週までに申請できるようにする。
飲食・娯楽などのホスピタリティー産業向けの措置としては、企業規模を問わず事業税を向こう1年間免除する。政府はこれらの企業に業務停止を命じていないが、事業中断保険の申請をできるようにし、保険に加入していない小規模企業には1社当たり2万5,000ポンドの補助金を交付する。また、予算案では課税見積額5万1,000ポンド以下の小企業に1社当たり3,000ポンドの補助金を交付するとしていたが、これを1社当たり1万ポンドに引き上げる。
渡航制限措置により大打撃を受けている航空産業については、近く業界代表者との協議を行い、包括的な支援策を検討する。このほか、住宅ローンの返済を向こう3カ月にわたり凍結する。
スナーク財務相は先に発表した2020/21年度の予算案の中でも、ウイルス感染拡大による国内経済への打撃緩和に向け総額70億ポンドの対策を打ち出していた。これには、自主隔離を命じられた従業員に初日から法定病休手当を支給することや、個人事業主への雇用支援手当の支給、中小企業への病休手当還付なども含まれていた。
しかし、英政府はその後に感染防止策を大幅に強化。16日には国民に不要不急の社会的交流の自粛を求めたほか、17日には海外渡航の自粛も要請したため、ホスピタリティーや小売り、航空産業を中心に追加の緊急支援策を求める声が強まっていた。
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