ドイツの連立与党に参加する中道左派・社会民主党(SPD)の党大会が6日、開幕し、先の党首選で勝利したノルベルト・ワルターボルヤンス氏とザスキア・エスケン氏のペアが新党首として正式に承認された。両氏は、メルケル首相が所属する中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立維持に懐疑的だが、今回の党大会では連立維持の是非を問う投票は行わない方針。ただ、連立維持の条件として、最低賃金引き上げなどをCDU・CSUに求めるとしている。
両氏は、最低賃金の引き上げと、追加の公共投資、気候変動対策の強化を、連立維持の条件として求める方針。エスケン氏は、最低賃金を現行の時給9.19ユーロから最低でも12ユーロに引き上げるべきと主張。また、ワルターボルヤンス氏は、向こう10年以上にわたり年450億ユーロの公共投資を追加で行うべきとしている。
エスケン氏は、「連立にはかねて懐疑的だが、これらの条件を示すことにより、連立政権に継続の現実的な機会を与える」と明言。また、ワルターボルヤンス氏は、CDU・CSUが新規借り入れなしでの財政均衡を目指していることについて、「次世代に引き継ぐ債務が減っても、汚染された環境や、劣悪なインフラを残せばより大きな負担を強いることになる」と訴えた。また、国防相を務めるCDUのクランプカレンバウアー党首がドイツ軍の世界各地への増派を目指していることについては「誤っている、外交の軍事化だ」と批判している。
CDU・CSUはかねて、2018年にSPDと結んだ連立協定の再交渉は行わないとしている。ただ、新党首ペアが比較的、控え目な要求を打ち出したことを受け、全面的な対決は避けられそうな気配となっている。
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