北大西洋条約機構(NATO)創設70周年の記念首脳会議(サミット)は4日、ロンドンで2日間の日程を終了した。加盟各国はサイバー攻撃や拡大する中国の脅威などについて協議。集団防衛の義務をあらためて確認する「ロンドン宣言」を発表した。初日はトランプ米大統領が他の加盟国の拠出金負担について再び批判した上、マクロン仏大統領とは対立を深めており、加盟各国の足並みの乱れが露呈していた。
NATOは4日、拠出金負担やテロリズムとの戦い、ロシアへの姿勢、第5世代(5G)移動通信システムを含む主要インフラの耐性などについても話し合った。ストルテンベルグ事務総長は記者会見で、NATO設立以来初めて中国の脅威について協議することの重要性を強調。マクロン仏大統領による「NATOは脳死状態」発言を打ち消した上で、「NATOは欧州と北米が常に会談し、判断し、共に行動する唯一の場所だ」と結束の強さを訴えた。
トランプ米大統領はかねて、加盟各国に対し、2024年までに国防費を対国内総生産(GDP)比で2%まで拡大するよう求めている。これに対し、ストルテンベルグ事務総長は欧州の加盟国とカナダが2016年以降、国防費を計1,300億ドル追加しており、2024年までに4,000億ドルに拡大すると明らかにした。ドイツは先に、2021年からNATOへの拠出金を拡大し、2031年までに対GDP比で2%にまで引き上げる方針を示している。ただ、トランプ氏の欧州への姿勢に懸念を抱くマクロン氏は「資金を投じ、兵士の命をリスクにさらすならば、NATOの基本理念を明確化する必要がある」とけん制している。
一方で、トルコのエルドアン大統領は、トルコが敵対するクルド人民防衛隊(YPG)をテロリストと見なすようNATOに要求。これが満たされなければ、ロシアがポーランドやリトアニア、ラトビア、エストニアに侵攻した場合の防衛計画を承認しないと迫っている。だが、米国をはじめ他の加盟国はトルコとの取引に消極的だ。
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