米通商代表部(USTR)は2日、フランスのデジタルサービス税(DST)が米企業を不当に標的にしているとして、総額24億ドル相当のフランス製品に報復関税を課す方針を明らかにした。チーズやシャンパン、ハンドバッグなどに最大100%の追加関税を課すとしている。
対象となるのは、チーズやバター、シャンパン、スパークリングワインなどの食品のほか、仏高級ブランドが得意とするハンドバッグや化粧品、陶器など。今後、意見公募や公聴会を経て最終決定する。
DSTは、全世界で7億5,000万ユーロ以上を売り上げ、フランス国内での売上高が2,500万ユーロを上回るIT(情報技術)企業を対象に、今年1月以降のオンライン広告を含むデジタル事業で得た収入の3%を徴収するもの。トランプ米大統領はDSTの成立を受け、USTRに調査を命じていた。
USTRは今回、「調査の結果、フランスのDSTがインターネット検索エンジン大手グーグルやソーシャルメディアのフェイスブック(FB)、アップル、オンライン販売大手アマゾンなどの米デジタル企業を不当に差別しているとの結論に達した」としている。USTRのライトハイザー代表は報復関税について「欧州連合(EU)加盟諸国による保護貿易主義の高まりに対抗するための措置」と説明。オーストリアやイタリア、トルコのデジタル課税についても調査を実施する可能性を示唆した。
これに対し、ルメール仏経済・財務相は、米国のこうした脅しは「受け入れられない」と反論。「米国が制裁に踏み切るなら、フランスも対抗措置をとる準備がある」と話している。仏政府はかねてDSTについて、EUでのデジタル課税が見送られたため単独導入に踏み切るものの、経済協力開発機構(OECD)で同様の国際的措置が合意されれば取り下げる方針を示している。
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