北大西洋条約機構(NATO)は3日から2日間の日程で、ロンドンで創設70周年の記念首脳会議(サミット)を開催している。ジョンソン英首相は加盟国の団結を促す方針だが、マクロン仏大統領による先の「NATOは脳死状態」発言などにより、足並みの乱れは否めない。
NATOは今回、ロシア戦略や軍備制御を巡る今後の方針、拡大する中国の脅威などについて協議する予定。また、各加盟国の拠出金負担についても話し合うとしている。拠出金の総額は5年連続で増加しており、欧州の加盟国とカナダは2020年末までに計1,300億ドルを、2024年までに4,000億ドルを追加で支払う必要がある。NATOの拠出金を巡っては、トランプ米大統領がかねて、米国の負担が大きすぎると訴えていた。同大統領は加盟各国に対し、2024年までに国防費を対GDP比で2%まで拡大するよう求めている。
一方で、トルコのエルドアン大統領は先に、トルコが敵対するクルド人民防衛隊(YPG)をテロリストと見なすようNATOに要求。この条件が満たされなければ、ロシアがポーランドやリトアニア、ラトビア、エストニアに侵攻した場合の防衛計画を承認しないと脅している。だが、米国をはじめ他の加盟国はトルコの条件を飲むことに消極的だ。
NATOのストルテンベルグ事務総長はサミット開始前、南ドイツ新聞などの記者団に対し、「NATOはポーランドやバルト海諸国での軍駐留により、ロシアに強いシグナルを送っている」とコメント。これら国々への攻撃には全加盟国が対応すると強調した。一方で、マクロン大統領が主張する欧州軍創設の方針については、反対はしないものの、NATOに取って代わることは理解しかねると苦言を呈した。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。