ジョンソン首相は18日、経営団体の英産業連盟(CBI)の年次総会で演説し、来年4月に予定していた法人税の引き下げを棚上げすると明らかにした。これで捻出できる財源を国民医療制度(NHS)などの優先課題に振り向けるという。12月12日の総選挙を控え、国民に関心の高い問題を優先する方針を示した。BBC電子版などが伝えた。
法人税の税率は、来年度に現行の19%から17%に引き下げられる予定だった。これはキャメロン政権時代の2016年に、オズボーン財務相(当時)が打ち出していたもの。しかしジョンソン首相は、法人税減税の中止で約60億ポンドが確保できると指摘し、「NHSが国民の優先課題であり、財政規律の堅持が断固として必要と考えるため」と語った。
同首相は、保守党政権下で法人税は2010年からこれまでに28%から19%に引き下げられ、税率は先進主要国の中でも低いことを強調している。ちなみに法人税率はドイツが30%、フランスが31%となっている。
この発表についてCBIのキャロリン・フェアバーン事務局長は「公共サービスに投資するために法人税の追加減税を延期することは、英国にとって役立つ可能性がある」としながらも、成長促進や事業コストに対するさらなる取り組みの後押しが必要と指摘している。
なお最大野党・労働党は、法人税率を26%に引き上げて医療や教育などの優先課題に振り向ける方針を掲げる。同党はこの税率について2011年の水準に戻すものと説明している。
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