英最大野党・労働党は15日、12月12日の下院(定数650)選挙で勝てば、2030年までに光ブロードバンド・サービスをすべての国民や企業に無料で提供する方針を明らかにした。まず向こう5年で、1,500万~1,800万戸を無料の光ファイバー回線に接続する計画。これに向け英通信大手BTグループの一部を国有化するとしている。
国有化の対象となるのは、BTのブロードバンド関連事業。具体的には、同社のローカルループ(加入者宅と最寄りの電話交換局を接続する末端回線)を担当するオープンリーチ部門に加え、テクノロジー、エンタープライズ、コンシューマーの各部門の一部。BT傘下の携帯電話EEは国有化しないとしている。この発表を受け、BTの株価は一時3.7%下落した。
同党はこの計画により、ブロードバンド普及の地域間格差が解消されるとともに、国民1人当たり月平均30.3ポンドの出費を防げるとみている。光回線網の展開コストは153億ポンドを見込み、財源には先に公表した2,500億ポンドのグリーン投資予算を充てる方針。また、光回線網の維持費は年2億3,000万ポンドとみており、米オンライン販売大手アマゾンや、米ソーシャルメディア大手フェイスブック(FB)、米インターネット検索エンジン大手グーグルなどの多国籍企業に対する増税で賄うとしている。BT国有化のコストは、株式の国債への転換によって賄う。
光ブロードバンドサービスの普及率は、日本が97%なのに対し英国では8~10%にとどまっている。与党・保守党は先に、2025年までに全国民が光ブロードバンドを利用できるようにすると公約していた。BBC電子版によると、BTのフィリップ・ジャンセン最高経営責任者(CEO)は、光ブロードバンドの完全普及にかかるコストは40億ポンド近くに上るとみている。
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