英最大野党・労働党は13日、12月12日の下院(定数650)選挙で勝てば、イングランドの国民医療制度(NHS)の病院運営資金の年間予算を2023年度までに実質260億ポンド拡大する方針を打ち出した。病院の待ち時間の短縮やメンタルヘルス・サービスの向上などに充てる方針で、与党・保守党が約束した予算拡大幅を上回っていると強調。NHSの改善が選挙の大きな争点となっている。
労働党は、イングランドのNHS病院の運営資金予算を今年度の約1,210億ポンドから、2023年度までに1,549億ポンドに引き上げる方針。これは、実質260億ポンドの予算拡大となり、保守党のメイ前首相が約束した実質200億ポンドを上回る。労働党は予算拡大分のうち、16億ポンドをメンタルヘルス・サービスの向上に充てるとしている。
同党は加えて、議会の任期である向こう5年に、NHSの設備投資予算を150億ポンド拡大する方針。また、看護師訓練の奨学金として10億ポンドを上乗せするほか、麻薬・アルコール中毒治療や肥満対策などの公衆衛生予算を10億ポンド増やすとしている。
労働党のマクドネル影の財務相は、政府による法人減税の撤回と富裕層への増税により資金を確保するとしている。アシュワース影の保健相は、「保守党政権下での10年にわたる投資不足と支出削減により、NHSは年間を通じて危機状態に陥っている」と指摘。「NHS救済の案を持つのは労働党だけ」と強調している。
なお、イングランド北部および中部で先に発生した豪雨による洪水の大規模被害を受け、政府の洪水対策を野党各党が批判している。自由民主党が堤防の増強に向け50億ポンドの追加資金拠出を公約として掲げたほか、労働党も「洪水対策や緊急対応策への資金確保を優先する」としている。
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