フィンランドの電力大手フォータム(Fortum)は8日、米ヘッジファンドのナイト・フィンケ(Knight Vinke)・アセット・マネジメントとエリオット・アドバイザーズから、ドイツのエネルギー大手ユニパー(Uniper)の株式20.5%超を追加取得することで合意したと発表した。取引額は約23億ユーロ。フォータムによるユニパーの買収はかねて、提示額を不服とするユニパーの反発に遭い、最終的な出資比率は49.99%にとどまり取引は暗礁に乗り上げていたが、これがようやく打開された格好となる。
フォータムは今回、ユニパー株1株当たり29.93ユーロで買い取る。これにより、フォータムが保有するユニパー株は計70.5%を超え、出資総額はおよそ62億ユーロに上る。取引完了には米国とロシアの関係当局の承認を必要とする。ただ、ロシア政府外国投資監視委員会が昨年4月、外国の国営企業によるロシアの戦略的活動の経営を制限する同国の法律に則って、50%を上限にフォータムによるユニパーの株式取得を認めたことから、今回の承認取得は難航するとの見方もある。こうした中、フォータムはロシア当局と協議を進めており、来年3月末までの取引完了を見込んでいる。
フォータムによるユニパーの買収を巡っては、欧州委員会が昨年6月に承認した。これに先立つ1月、フォータムはユニパーの元親会社である独エネルギー最大手エーオンからユニパー株46.65%を取得することで合意。その後の株式公開買い付け(TOB)で残り株の取得を目指したものの、ユニパーの当時のクラウス・シェーファー最高経営責任者(CEO)とクリストファー・デルブリュック最高財務責任者(CFO)による買収への抵抗を受け、取引は膠着(こうちゃく)状態にあった。[M&A]
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