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欧州委員候補の公聴会が佳境 最終人事は23日に提出へ

フォンデアライエン次期欧州委員長率いる新体制を巡り、信任に向けた欧州議会による公聴会が佳境を迎えている。これまでに候補数人が却下され、担当役職自体への反論も出るなど一部波乱の様相だが、8日の上級副委員長3人の審問を経ていったん終了する。最終人事案は23日に提出される予定だ。

公聴会は9月30日に始まり、10月3日までに委員候補26人中16人が承認された。3日は経済担当委員に指名されたイタリアのパオロ・ジェンティローニ元首相が方針として、公的債務残高の縮小や財政的に余裕があればを投資に充てること、欧州連合(EU)全域での税制度の確立などを公約に掲げた。議員からは、欧州経済の安定性と成長に向けた政策に対する姿勢への質問や、租税回避やタックスヘイブン回避に向けたEUにおける法人税の最低税率の導入などの意見が出た。ジェンティローニ氏の経済担当委員就任は承認された。

この日の公聴会で同じく注目を集めたのは、新設された「欧州らしい生活の保護」担当委員に任命されたギリシャのマルガリティス・シナス候補。シナス氏は優先事項として、欧州社会を公平でより他者を受け入れるものにし、難民・移民を巡る新たな政策を定めるとした。議論の的となっている役職名については、過激派の視点や分断思想を助長するとして複数の議員から批判や取り下げるよう要求があったが、「われわれの価値観に対しポピュリストは脅威を覚えるべき」とこれを擁護。また、欧州は常に難民のための場所であるとした一方、権利のない者は送還されるべきと強調した。シナス候補も承認を得ている。

一方で、域内市場・防衛・宇宙産業担当委員候補となったフランスのシルビー・グラール中銀副総裁は、所属政党「民主運動」の欧州議会の公金流用疑惑について厳しく尋問され、対応に追われた。グラール氏はEU大統領のアドバイザーを務めた経歴を持ち、マクロン仏大統領が就任した2017年5月には国防相に登用されたが、公金流用疑惑を受け翌月には辞任していた。グラール氏は、2度目の公聴会実施を要求される可能性がある。

一方で、ポーランドのヤヌシュ・ボイチェホフスキ農業担当委員候補と、スウェーデンのイルバ・ヨハンソン内務担当委員候補は欧州議員の信任を得られず、2回目の審問を受けることになる予定だ。欧州議会は9月30日、欧州近隣政策・拡大交渉担当委員の候補であるハンガリーのトローチャーニ・ラースロー氏と、運輸担当委員候補であるルーマニアのラバナ・プロム氏を、経済的な利害関係に問題があるとして却下。ハンガリーは新たにEU外交官のバルヘーリィ・オリベル氏を推薦している。


関連国・地域: EU
関連業種: 雇用・労務政治

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