ドイツ政府は20日、2030年までの気候変動対策パッケージを発表した。二酸化炭素(CO2)排出量削減のインセンティブやCO2価格の設定、将来的な規則の厳格化などが盛り込まれている。
政府は今回、2021年から欧州連合(EU)排出権取引制度(EU―ETS)に則り、その対象外の運輸や建物暖房で使われるエネルギーのCO2価格を設定。1トン当たり10ユーロから始まり、2025年の1トン当たり35ユーロまで段階的に引き上げるとしている。ロイター通信によると、これは環境活動家が求めてきた1トン当たり40ユーロを下回り、独企業への温室効果ガス削減圧力はかねての予想よりも軽減されているようだ。
運輸分野では、2030年までに年間9,500万トンのCO2を削減することを目指している。対策としては、エレクトロモビリティーの推進に向けて電気自動車(EV)の充電インフラの拡充を公約。2030年までに充電ポイントの設置数を100万カ所に拡大させるとしている。また、企業のEV導入における減税措置を2030年まで延長する方針。
建物の空調などでは2030年までに年間約9,000万トンの削減達成を目指している。これには、省エネを目的とした建物の改修に税制優遇措置を導入し、エネルギー効率の良い建築物には政府の助成金を支給する計画などを掲げる。
メルケル首相が所属する中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と中道左派・社会民主党(SPD)による連立政権は今回、18時間以上に及ぶ協議を経て対策案で妥結。独政府の拠出額は2023年までに540億ユーロ、2030年までに少なくとも1,000億ユーロとなる見込みだ。
ドイツは2030年までに温室効果ガスを1990年比で55%削減する目標の達成を目指す半面、2020年の温室効果ガスの削減目標を達成できないことが確実となっている。[環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。