欧州委員会は16日、独エネルギー最大手エーオンによる再生可能エネルギー会社イノジー(Innogy)の送電および小売事業の取得を条件付きで承認すると発表した。エーオンが国内電気暖房事業の大部分を売却することなどを条件としている。
イノジーは2016年、独エネルギー2位のRWEが再生可能エネルギー事業と送電・小売事業を分離して設立。エーオンは2018年、RWEが保有するイノジー株76.8%とイノジーの送電・小売事業を取得する一方、RWEに自社の株式16.67%と再生可能エネルギー事業を譲渡する資産交換取引で合意した。欧州委はこのうち、エーオンによるイノジーの事業統合について今年3月に本格調査を開始。一部の欧州連合(EU)加盟国で電力・ガス小売市場の競争を阻害し、価格高騰を招く恐れがあるとの見方を示したため、エーオンはこうした懸念を解消するため資産売却など一連の譲歩案を提示していた。
欧州委は今回、エーオンがこの譲歩案を全て実行することを条件に、取引を承認する方針を示した。これには、エーオンのドイツ国内の電気暖房事業の大部分と、ハンガリーの一部小売事業、イノジーのチェコ電力・ガス小売事業を売却することと、ドイツの高速道路沿いの電気自動車(EV)充電施設34カ所の運営を取りやめることが含まれる。
エーオンのヨハネス・ティッセン最高経営責任者(CEO)はこの決定を受け、「新生エーオンの多大な成長機会を考えれば、これらの譲歩は容認できる」とコメント。欧州委と約束したこれらの措置を実行し、早々にイノジーの事業を統合する方針を示した。
なお、資産交換のうちRWEによるエーオン事業の取得取引は、2月に既に欧州委の承認を受けている。[M&A][環境ニュース][EU規制]
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