仏独英3カ国は14日、核合意を巡る米・イラン間の緊張緩和に向けた共同声明を発表した。核合意を維持する姿勢をあらためて示す一方、核合意が崩壊する危険性を指摘し、双方に自制を求めている。
3カ国は「米国による経済制裁と、イランが核合意の一部主要条項の履行を停止する決定を下したことを受け、核合意がさらに崩壊するリスクを懸念している」とした上で、「責任ある行動をとり、緊張の高まりを食い止め、対話を再開するべき時が来た」と指摘。「すべての当事者が立ち止まり、自分達の行動が招く結末を熟考する必要がある」と訴えた。また、今後も核合意を支持するものの、「イランの完全な合意順守が条件となる」とし、履行の一部停止の決定を取り消すよう求めている。
トランプ米政権は2018年5月、イラン核合意からの離脱を表明し、同年8月には核合意に基づき解除していた対イラン経済制裁を再開した。これを受け、イランは今年5月に核合意の履行を一部停止する方針を打ち出すとともに、他の締結国に対し、イラン産業を米国の制裁から保護する措置を取るよう要求。先には、イランの低濃縮ウランの貯蔵量や濃縮度が核合意で定められた上限を上回ったことが、国際原子力機関(IAEA)の査察により確認されていた。
なお、英独仏の3カ国は核合意の維持に向け、米国の決済システムを迂回(うかい)してイランとの貿易促進を図る新決済システム「INSTEX」を設立しているが、現在は食品と医薬品にしか適用されていない。イランはこれを石油取引にも拡大するよう求めている。
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