欧州連合(EU)加盟28カ国の首脳は2日夜、ブリュッセルで行われた臨時の首脳会議(サミット)で、欧州委員会のユンケル委員長の後任にフォンデアライエン独国防相を指名することで合意した。欧州中央銀行(ECB)の総裁には国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が選ばれた。欧州議会の信任投票などを経て正式に就任が決まれば、いずれも初の女性トップとなる。
サミットでは他に、ベルギーのミシェル首相をEUのトゥスク大統領の後任に決定。ミシェル氏の任期は今年12月から2022年5月までの2年半で、1回まで再選が可能となる。モゲリーニ外交安全保障政策上級代表(外相)の後任には、スペインのボレル外相が指名されており、こちらは次期欧州委員長の承認を必要とする。
欧州議会は同じく2日、新議長候補の4人を選出。緑の党・欧州自由連盟のスカ・ケラー氏(ドイツ出身)、欧州統一左派・北方緑の左派同盟(GUE/NGL)のシラ・レゴ氏(スペイン出身)、中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)のダビドマリア・サッソーリ氏(イタリア出身)、欧州保守改革連盟(ECR)のヤン・ザハラディル氏(チェコ出身)が3日の投票に進み、第2回投票でサッソーリ氏の就任が決まった。
今回の緊急サミットは6月30日に始まり、協議が難航したことから7月1日昼の時点で一時中断。2日は予定時間より4時間以上遅れて再開し、異例の長さとなった。原則として、欧州委員長には最大会派の筆頭候補者が就任することになっており、5月の欧州議会選挙で最多議席を確保した中道右派の欧州人民党(EPP)グループが推すマンフレート・ウェーバー党首(ドイツ出身)が有望視されていたが、マクロン仏大統領が同氏の政治経験不足などを理由に強く反対し、協議が振り出しに戻った経緯がある。
また、五つの要職は各出身国や性別、政治会派が平等に分かち合うことが理想とされるが、欧州議会選挙では2大会派のEPPとS&Dが共に後退し、リベラル派の欧州自由民主改革党(ALDE)および緑の党・欧州自由連盟と組んで過半数を確保したため、顔ぶれが多様化しトップ人事をさらに難航させた。最終的には、ドイツとフランスが主要ポストを分け合った。
次期欧州委員長の欧州議会での信任投票は15日に行われる予定。否決された場合は1カ月以内に代わりの候補を選出する必要が生じる。[労務]
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