英政府は2日、民間投資と気候変動対策や環境保護を連動させるための「グリーン・ファイナンス戦略」を公表した。上場企業や年金基金に2022年から気候変動に関わるリスクの開示を義務付けるほか、銀行に対し二酸化炭素(CO2)排出量削減に役立つ事業への投資を促している。
政府は先に、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を打ち出した。クラーク民間企業・エネルギー・産業戦略相とハモンド財務相は今回、「われわれの目標を達成するためには、グリーンで低炭素な技術に対する前例のない水準の投資が必要となる」と説明。「グリーン・ファイナンスは必要となる資本フローの提供に向け、中心的役割を果たす」としている。
グリーン・ファイナンス戦略によると、全ての上場企業および投資ファンドや年金基金といった大規模資産の運用者は、2022年までに、気候変動関連リスクが収益に及ぼす影響について、開示できる体制を整える必要がある。こうしたリスクには、異常気象に加え、プラスチック包装の禁止など気候変動防止に向けた規制の変更も含まれる。
銀行はよりグリーンな投資を義務付けられるほか、金融当局による気候変動関連リスクの監督も提案されている。このほか、政府は官民の協力により同戦略を進めるため、ロンドンの金融街シティーの行政を担うシティー・オブ・ロンドン・コーポレーションと共同でグリーン・ファイナンス・インスティテュート(GFI)を設置する。また、エネルギー効率の高い住宅の建設を促すため、500万ポンドを投じてこうした住宅のローンを試験的に支援する。
政府は2017年9月、金融専門家らから成るグリーン・ファイナンス・タスクフォースを設置。2018年3月に同タスクフォースから受け取った報告書を元に今回の戦略を策定した。[環境ニュース]
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