欧州連合(EU)加盟28カ国は20日、ブリュッセルで首脳会議(サミット)を開き、欧州委員会のユンケル委員長の後任を含むEUのトップ人事や向こう5年の戦略課題、気候変動対策について協議した。21日のサミット終了後には英国を除く27カ国が、英国のEU離脱を巡る現状やユーロ圏予算について話し合う予定だ。
AFP通信によると、欧州委員長は先の欧州議会選挙で最大会派の地位を維持した中道右派の欧州人民党(EPP)グループから選出される可能性が高い。ただ、同党の筆頭候補でドイツが推すマンフレート・ウェーバー党首(ドイツ出身)を巡っては、かねてフランスが政治的経験の不足などを理由に強く反対しているほか、2大会派のもう片方である中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)とリベラル派の欧州自由民主改革党(ALDE)、欧州緑グループ・欧州自由同盟の支持も得られていない。このためEPPは、ミシェル・バルニエ首席交渉官(フランス出身)など他の候補者も用意しているという。欧州委員長の任命には、EU加盟28カ国のうち21カ国と、欧州議会(定数751)の過半数の支持が必要となる。
他の要職を巡っては、S&DがEUのモゲリーニ外交安全保障政策上級代表(外相)の後任を、リベラル派はEUのトゥスク大統領の後任を、それぞれ狙っているとされる。また、欧州議会の議長職については、任期の5年を欧州緑グループ・欧州自由同盟とS&Dが2年半ずつ分け合う案などが検討されているもようだ。
この日のサミットではほかに、2050年までに炭素排出量を実質ゼロにすることを目指す欧州委の提案についても協議が行われた。ドイツとフランスは共にこの目標を支持しているものの、ポーランドなど一部加盟国は強い抵抗を示している。[労務][EU規制]
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