イタリア政府は24日、経済成長策を閣議承認した。リセッション(景気後退)からの脱却に向け、各種税控除や投資のインセンティブ、公共入札手続きの簡素化を打ち出している。ただ、この日の閣議では連立を組む反体制派「五つ星運動」と中道右派「同盟(旧北部同盟)」の対立が浮き彫りとなり、同国への政権崩壊への不安が高まっている。
閣議は23日夕に始まったが、両党の衝突により経済成長策の承認は24日未明までずれ込んだ。両党は2018年6月の連立政権樹立以来、政策を巡りことあるごとに衝突してきたが、この日の火種は収賄の疑いが浮上しているシリ運輸政務次官の処遇。五つ星運動を率いるディマイオ副首相は、同盟に所属する同氏の辞任を求めているが、同盟を率いるサルビーニ内相兼副首相はこれを拒否している。
イタリアでは5月26日に予定される欧州議会選挙で同盟の躍進が予想されており、これにより政権内のバランスが崩れれば、連立政権の崩壊と早期総選挙につながるとの懸念も生じている。ただ、サルビーニ氏は24日、記者団に対し、「任期は全うする。早期総選挙を行うつもりはない」とコメント。また、欧州議会選の結果を反映するために内閣改造を要求するつもりもないとしている。
なお、経済成長策にはローマ市の債務削減策や、銀行危機により影響を受けた貯蓄預金者への補償拡大策、経営破綻したアリタリア航空の救済機関への政府出資を可能にする措置などかねて予想されていた措置が並ぶ。イタリアの国内総生産(GDP)は2018年の第3四半期(7~9月)から2期連続で0.1%縮小し、リセッションに突入。政府は先に、2019年のGDP成長率の見通しを従来の1%から0.2%へと大幅に引き下げている。
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