欧州連合(EU)は11日未明、ブリュッセルで開いた臨時の首脳会議(サミット)で、英国のEU離脱期限を最長で10月末まで延期することで合意した。メイ首相は依然として短期間の延期を念頭に置いており、下院で早期に離脱協定の承認獲得を目指す方針。
英国は4月12日に離脱することになっていたが、英下院でまだEU離脱協定の承認が得られておらず、合意のないままEUを離脱する可能性が強まったため、メイ首相はEUに6月末までの離脱延期を申請。トゥスク大統領はこれに対し、今後さらに短期延期が繰り返される恐れがあるとして、最長1年の長期延期を加盟各国に提案していた。
この日のサミットでは、英国の延期要請に応じる姿勢では各国が一致したものの、延期の期間を巡っては一時、議論が紛糾した。長期延期に賛成する意見が大勢を占める一方、マクロン仏大統領は最長6月末までの延期にとどめるべきと強く主張。英国が明確な新方針を示さない限り長期延期は認めないとしたEUの従来方針を貫く姿勢を示した。最終的に、メルケル独首相が「英国に方向性を見定める時間と余裕を与えるべき」との意見を述べ、両者の中間をとり10月末までの延期を認める案で妥協が成立した。
それによると、この間に離脱協定が英・EU双方で批准された場合には、英国は翌月1日にEUを離脱する。また、5月22日までにこれが批准されない場合、英国は同月23~26日の欧州選挙に参加する必要があり、これを怠った場合には合意の有無にかかわらず6月1日にEUを離脱することになる。また、サミットでは延期の条件として、英国による重要法案への拒否権行使を禁止することなども検討されたが、最終決議では「英国に協力を求める」とするにとどまった。
トゥスクEU大統領はサミット後の記者会見で、「今回の延長は自分が期待したより短いが、フレキシブルさは期待通り」と説明。英国に対し「この期間を無駄にしないでほしい」と訴えた。同大統領は、英国がこの間に離脱方針を見直す場合、離脱協定の変更は認めないものの、政治宣言については修正に応じるとしている。
メイ首相はこれを受け英下院で演説し、「5月22日までに離脱協定が可決されれば、欧州議会選挙に参加する必要はない」と強調。イースター休暇明けには迅速に打開策を見出す必要があると訴えた。英下院はこの日から休暇に入り、4月23日に再開する。政府と最大野党・労働党はこの間も、EU離脱方針を巡る協議を継続する方針。
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