ドイツを代表する五つの経済研究所は4日発表した春季合同経済予測の中で、今年の国内総生産(GDP)成長率の見通しを昨年9月時点の1.9%から0.8%に大幅に引き下げた。米中間の貿易紛争や英国の欧州連合(EU)離脱の影響のほか、国内の供給面の制約や熟練労働者の不足などを理由に挙げている。2020年の成長率見通しについては1.8%に据え置いた。ただし3月末時点の予測では英国の合意なき離脱を想定していないため、状況によってはさらに低下する可能性もあると警告している。
合同経済予測は、連邦経済技術省の委託により春と秋の年2回発表される。今回の予測は、Ifo経済研究所、RWI経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)の五つの研究所が合同でまとめた。
それによると、国内経済の長期的な上昇基調は既に終わっていると指摘。国際経済環境は政治的リスクなどにより悪化しているという。ただ、ドイツ経済が顕著なリセッション(景気後退)に陥る可能性は低いとの見方を示した。
就業者数は今年の約453万人が来年には455万人超に増え、失業率も4.8%から4.6%に低下するものの、雇用拡大の勢いは失われると予想。インフレ率は今年が1.5%で、来年は1.8%に加速する見通し。一方、財政黒字は昨年の580億ユーロが今年は418億ユーロに大きく縮小し、来年には356億ユーロになると見ている。
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