英下院(定数650)は13日、合意なしで欧州連合(EU)を離脱しないとする政府動議を賛成321票、反対278票で可決した。これを受けて、14日にはEUに離脱延期を求める動議の採決が行われる。下院で離脱延期が可決され、EU加盟27カ国のすべての同意が得られれば、英国は目先の「合意なき離脱」をひとまず回避することとなる。
政府動議の原案は、「3月29日に合意なしで欧州連合(EU)を離脱しない」と日付を特定したものだった。しかし、最大野党・労働党のイベット・クーパー議員は「いかなる場合も」合意なしでEUを離脱することに反対するという内容の修正案を提出。下院はこれを賛成312票、反対308票の僅差で可決したため、政府案はこの修正内容を加えた上での可決となった。
政府の原案通りだと、離脱協定で合意できなかった場合の結果として「合意なき離脱」の可能性が残り続けることや、離脱を延期した後の交渉でもメイ首相が合意なき離脱を駆け引きのカードとして使うという疑念が一部議員の間に広がっていた。修正案に法的拘束力はないものの、メイ首相が保守党議員に対して自由投票を認めた結果、多くの議員が造反したことを受け、首相の権威の低下ぶりが浮き彫りになった格好だ。
メイ首相は投票結果が出た後の演説で、「下院は合意なき離脱を明らかな過半数で反対した」とした上で、何らかの合意が結ばれない限り、英国は法律上、合意なしでEUを離脱することになるとの見解を改めて示した。「下院にいるわれわれ全員の責務は、それが何なのかを見つけることだ」と述べた。
この日はほかに、5月22日までEU離脱を延期する修正案の採決も行われたが、反対164票、賛成374票で否決された。これは、保守党のダミアン・グリーン議員が提出したもので、同党のEU離脱強硬派などが支持していた。
下院が合意なき離脱を拒否したことを受け、メイ首相は予定通り、EUに離脱延期を求める動議を下院に提出する。大方の予想では14日の採決での可決が見込まれている。ただ、EUが離脱延期に応じるかどうか、またどの程度の期間延長を認めるかは不透明だ。
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