Ifo経済研究所は19日、ドイツの2018年の経常黒字が約2,490億ユーロとなり、日本を押さえて3年連続で世界首位に立ったとの見方を示した。対国内総生産(GDP)比では7.4%と、欧州連合(EU)が推奨する上限の6%を引き続き上回っている。同国はかねて内需拡大による経済不均衡の是正を求められているだけに、メルケル首相の財政政策への風当たりが一段と増す可能性もある。
欧州委員会や国際通貨基金(IMF)は長年、ドイツに対し、公共投資の拡大や実質賃金の押し上げ策を通じて内需を拡大するよう勧告している。同国の輸入を増やし、他の諸国の成長を促すことにより経済不均衡を是正するのが狙いだ。一方、ドイツの強大な輸出力にはトランプ米大統領も不満を抱いており、両国の貿易関係に緊張が生じている。
ただ、ドイツの経常黒字は3年連続で縮小しており、対GDP比でも2015年の8.9%をピークにその後は低下傾向にある。Ifoはその要因として、EU域内からの輸入が拡大したことや、GDPが力強く伸びたことを挙げている。
なお、2018年の経常黒字がドイツに次いで多かったのは日本で約1,730億ドル。これにロシア(約1,160億ドル)が続いた。中国は上位3カ国から脱落したが、これは貿易紛争により製品輸出が減ったためではなく、機械輸入が大幅に伸びたため。一方、経常赤字が世界で最も多かったのは引き続き米国で、前年に比べて赤字額が約50億ドル増えている。同国は中国に関税合戦を仕掛けたものの、対中貿易は輸出が大幅に減る一方、輸入は引き続き伸びている。[EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。