メイ英首相は12日、下院で欧州連合(EU)離脱方針に関する経過報告を行った。EU離脱協定に含まれる「バックストップ(安全策)」の変更を巡り、いくつかの選択肢を提示したとしている。同首相は、英国側の希望に沿う変更が確保でき次第、下院で再び離脱協定の採決を行う方針。2月26日に再度、下院で経過報告を行い、その時点までに進展が得られていなければ、翌27日に今後の方針について下院の意向を諮るための採決を行うとしている。
メイ首相は、「バックストップ」に法的拘束力のある変更を加えるため、バークレイEU離脱相がEUのバルニエ首席交渉官と会談したと説明。具体的には、与党・保守党の下院議員から成る作業部会が考案した代替案のほか、「バックストップ」を期間限定措置とする案、英国が一方的に「バックストップ」を廃止できる条項を追加する案を提示したとしている。協議は「決定的段階」にあるが、下院が支持する変更の確保はなお可能との見方を示した。
これに対し最大野党・労働党のコービン党首は、「首相は下院に対し、今週までにバックストップの変更を確保し再採決を行うと約束していたが、実現しなかった」と批判。また、同党のスターマー影のEU離脱相は、メイ首相が3月21~22日のEU首脳会議(サミット)後まで下院採決を先延ばしし、時間切れ寸前にこの離脱協定か合意なし離脱の二者択一を迫るつもりではないかと指摘した。同首相はこれを否定している。
EUは、法的拘束力のない政治宣言の修正に向けた交渉には応じる姿勢を示しているが、離脱協定自体を巡る交渉の再開は一貫して拒否している。英国は、合意の有無にかかわらず3月29日にEUを離脱することになっている。
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