欧州連合(EU)離脱協定を巡る下院での投票は、1月15日に実施されるもようだ。政府筋の話を元に、BBC電子版が7日伝えた。メイ首相はこの投票で同協定が否決された場合、英国の命運は「未知の領域」に突入すると警告している。
メイ首相が昨年11月にEUと合意した離脱協定の発効には英議会の承認が必要となる。投票は当初、昨年12月に予定されていたが、大差で否決される可能性が濃厚となったため、メイ首相が1月14日の週に延期した経緯がある。ただ、同協定に含まれる「バックストップ(安全策)」にはなお多くの議員が反対しており、今も承認のめどは立っていない。
メイ首相は6日出演した公共放送BBCのテレビ番組で、「同協定が否決されれば、英国は未知の領域に突入する」と警告。その場合、最大野党・労働党が政権に就くことや、2度目の国民投票が行われること、合意なしのEU離脱などが考えられ、「下院がどのような反応を示すかは誰にも予測がつかない」としている。
「バックストップ」は、EU離脱後2年間の移行期間内に英国とEUが貿易協定で合意できない場合、アイルランドと英領北アイルランドの間の国境検査を避けるため、英国全体が関税同盟にとどまるもの。ただ、与党・保守党のEU離脱強硬派はこれが恒久的に続く恐れがあるとして猛反発しており、同党に閣外協力する北アイルランド・民主統一党(DUP)も、英本土と英領北アイルランドの間に制度上の違いが生じることを懸念し、反対を表明している。
こうした中、メイ首相は下院での承認獲得に向け、懸念を払しょくする法的な確証をEUから獲得することを目指している。同首相は、「バックストップ」が一時的措置であることや、その導入に際しては英下院の承認を必要とすること、英国に「バックストップ」を解消する意図の告知権を与えることなどの法的な確証を求める見通し。さらに、DUPの支持を取り付けるため、北アイルランドと英本土の制度上の格差を最小限にとどめる確証をEUに求め、「バックストップ」導入に関し北アイルランド議会に発言権を与える可能性もある。
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