メイ首相は17日、下院での演説で、欧州連合(EU)離脱を巡る2度目の国民投票を実施すれば、国民の信頼を裏切ることになるとの考えをあらためて示した。ただ、同首相が先にEUと合意した離脱協定が下院で承認を得られる見込みは薄く、議員の間では新たな国民投票を求める声が強まっている。BBC電子版が伝えた。
下院議員の間では、EU離脱協定の内容にも、合意なしでのEU離脱にも反対し、2度目の国民投票に打開策を求める動きが強まっている。メージャー元首相やブレア元首相もかねて、2度目の国民投票を支持している。
メイ首相はこの日の演説で、「2度目の国民投票を行えば、民主主義を信じた多くの国民に、われわれの民主主義は結果をもたらさないと言うことになり、政治の正当性が失われる」と強調。「もう一度、国民投票をしても前回から進展はなく、国がさらに二分される」と警告した。
離脱協定が下院で否決された場合の代替案としては、2度目の国民投票のほかに、EUと「ノルウェー型」または「カナダ型」の貿易協定を結ぶ案や、合意はないが一定の管理下でEUを離脱する案、EU離脱を遅らせて再交渉する案が浮上している。
メイ首相は先に延期した下院での投票を年明けに行うとしており、遅くとも1月21日までに実施する方針。ただ、野党や与党・保守党内のEU離脱強硬派は、代替案を早期に検討するため、クリスマス前に投票を行うよう求めている。一方、閣僚の間では、議会の意向を探るため、こうした代替案を巡る法的拘束力のない投票を行うべきとの意見も強まっている。キャメロン前首相もその方向でメイ首相に助言しているもようだ。
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