メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の党首選挙が7日に行われ、同首相の路線を継ぐ中道派のアンネグレート・クランプカレンバウアー幹事長が、党内右派のフリードリヒ・メルツ元院内総務を抑えて新党首に選出された。メルケル氏は、投票に先立つ演説で「党首を務められたことに感謝する」と語り、18年にわたった党首生活の幕を引いた。
党首選には、両氏に反メルケル派の若手リーダーであるシュパーン保健相を加えた3人が出馬していた。999人の選挙人が投票し、第1回投票ではクランプカレンバウアー氏が450票、メルツ氏が392票、シュパーン氏が157票と、いずれも過半数に届かず、上位2人の決選投票が行われることになった。この結果、クランプカレンバウアー氏は517票を獲得して当選。メルツ氏は482票だった。
クランプカレンバウアー氏は、メルケル首相によって2月に西部ザールラント州首相から幹事長に抜てきされた。頭文字の「AKK」を愛称とし、世論調査では3候補の中で最も人気が高い。敗れたメルツ氏は2002年にメルケル首相と対立して政界から退いた人物で、同首相の移民受け入れ策に強く反対していた。
メルケル首相は10月末、独中部ヘッセン州の州議会選挙でCDUの得票率が大きく落ち込んだことを受け、党首選への出馬を断念。ただ、首相には2021年の任期終了までとどまる意向を示しており、クランプカレンバウアー氏も同首相の続投を支持している。
メルケル氏は演説で、「未来がわれわれの価値観を試す」と語り、演説終了時には6分以上にわたる拍手喝采が続いた。
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