政府は5日、離脱協定についてコックス法務長官から受けた法的助言の全文を公開した。同長官はこの中で、英国全体が関税同盟にとどまる「バックストップ(安全策)」が恒久的に続く可能性を指摘している。メイ首相はこの日の議会で野党からこの点を追及され、弁明に追われた。
離脱協定には、2年間の移行期間内に英国とEUが貿易協定で合意できない場合、アイルランドと英領北アイルランドの間の国境検査を避けるため、英国全体が関税同盟にとどまるバックストップが盛り込まれている。コックス長官はこれについて、「永続性を意図したものではないとの記述にもかかわらず、国際法上は、これに優先される協定が結ばれるまでこの措置が恒久的に続くことになる」と指摘。「英国にはこれを停止する権利がないため、長期的、反復的な交渉を余儀なくされる法的リスクがある」としている。
メイ首相はこの法的助言を機密情報としていたが、野党の追及を受け、4日に一部を公開するとともに、コックス法務長官が議会で概要を説明。野党はこれに納得せず、全文を公開しないことは議会侮辱に当たるとの動議を提出し、この日の議会でこれが可決されていた。
メイ首相は5日の議会で、法的助言の概要と今回公開した全文の内容に違いはないと主張。意図的に議会に誤解を与えたとの批判を否定するとともに、英国がバックストップを一方的に廃止できないことは最初から明確にしていたと強調した。その上で、「バックストップは英国を競争上、優遇する内容であり、EUがこれを必要以上に続けようとするとは思えない」としている。[EU規制]
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