イタリア政府は13日夜、欧州委員会に2019年度予算案の改定版を提出した。ただ、欧州委が是正を求めていた財政赤字目標を対国内総生産(GDP)比2.4%に拡大する方針は維持。欧州委はこれが欧州連合(EU)の財政規律に反しているとしており、イタリアに対して制裁を発動するかどうかを判断する。
伊政府は再提出の期限だったこの日、閣議で予算案の改定版を承認。予算での支出拡大は主要公約の実行と経済拡大に必要との考えを改めて示した。トリア経済財務相は今回、欧州委宛てに政府の戦略を記した書簡を添付。EUの財政規律に反することを認めながらも、「金融危機から10年経った今、政府は現在の経済・社会状況に大きく不満を持っており、経済成長の加速は必須」と説明した。
伊政府は歳入拡大策として、国有資産の売却などでGDPの1%に相当する資金を獲得し、それを負債軽減に充てる計画などを新たに報告。また、2019年の経済成長率が目標の1.5%を下回った場合はセーフガード策を発動するとしている。
欧州委は10月、伊政府が提出していた来年度予算案を正式に拒否。欧州委による加盟国予算案の承認拒否は前例がなく、21日に伊予算案への最終的な判断を下す予定。フィナンシャルタイムズによると、制裁を発動する場合、イタリアのGDPの0.2%に相当する制裁金が科されるもよう。ただ、来年5月に実施される欧州議会選挙を前に、EU懐疑派の反発をあおらないためにも、欧州委は厳しいかじ取りを迫られそうだ。
国際通貨基金(IMF)は10月、イタリアのGDP成長率が来年は1%になると予測。伊政府の見通しを大きく下回っている。また、財政赤字は対GDP比で2.66%を予想しており、こちらは目標値を上回っている。[EU規制]
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