英政府は11日、大手企業に対して、人種間の賃金格差の情報開示を義務付ける法案の導入に向け、意見公募を開始した。導入が決まると、男女の賃金格差の公表義務付けに続く動きとなる。BBC電子版などが伝えた。
同法案は、人種間の賃金格差の実態を明らかにすることで、雇用主に対し、より公平で多様な従業員構成の達成に向けた取り組みを促すのが狙い。意見公募は2019年1月11日まで実施する予定で、格差縮小に向けた対策を講じるために必要となる情報を特定するほか、企業に過度な負担をかけることなくこれを実施するための提案などを募る。
メイ首相は「人種的な少数派は、昇進などの際に壁にぶつかると考えている」と指摘。政府は、英国の組織や取締役会、管理職などに職場の実態を反映させることに注力する方針で、今回の施策がこれを助けるとの見解を示した。
政府が昨年実施した英国人の人種間の格差調査では、教育や雇用、保健、刑事裁判を含む幅広い分野で、白人と人種的少数者の間に格差があることが明らかになった。例えば、アジア人や黒人など人種的な少数派が低所得者層に占める割合が高かったほか、警察官の上級職に非白人が占める割合はわずか1%であることが判明。また、国民医療制度(NHS)のイングランド支部で最終選考に残った求職者のうち採用された人の割合は、白人で18%だったのに対し、非白人では11%にとどまったとしている。
英国では4月から、従業員が250人以上の大手企業に対して男女の賃金格差の公表を義務付けている。国内1万社余りの回答を基とした最初の調査結果では、男女の間に、中央値で9.7%の賃金格差があることが明らかになった。[労務]
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