金融情報サービス会社IHSマークイットは3日、8月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が54.6ポイントになったと発表した。速報値から変化がなく、前月から0.5ポイント低下。2016年11月以降で最低にとどまった。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは62カ月連続で超えている。
調査対象の8カ国のうち、イタリアは50.1ポイントと過去24カ月で最低を記録。オーストリアは56.4ポイントと過去20カ月で最低に沈んだ。一方、アイルランドは57.5ポイントと過去7カ月で最も高く、ギリシャは53.9ポイントと過去3カ月で最も伸びた。オランダは59.1ポイント、スペインは53ポイントにそれぞれ上昇している。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは55.9ポイント。速報値から0.2ポイント下方修正され、7月を1ポイント下回った。生産高と雇用は大きく拡大したが、輸出向け受注の伸びは過去2年超で最も小さい。
フランスは53.5ポイントと速報値から0.2ポイント下方修正されたが、7月からは0.2ポイント改善。生産高と新規受注の伸びが共に加速し、輸出向け受注は2016年9月以降で初めて減少に転じた前月から再び増加に持ち直した。半面、雇用ペースは過去15カ月で最も鈍化している。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高の伸びが過去3カ月で最高に達する一方、新規受注は過去2年で最も減速。雇用は過去最高水準を更新したが、伸びは小幅にとどまった。仕入れ価格の伸びは過去3カ月で最も小さく、出荷価格の伸びも過去1年で最低を記録したが、いずれも高水準を維持している。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席エコノミストは、輸出が減速した要因として単一通貨ユーロの価値が年初に比べて上昇していることがあると説明。企業からは、需要低下やリスク回避の兆候が見られるとの意見も出ているという。また、貿易戦争や関税、英国の欧州連合(EU)離脱、その他の政治的懸念が、向こう1年の景況感に影を落としたと分析。見通しは2015年11月以降で2番目に低い水準にあると指摘している。
■英国は過去25カ月で最悪
IHSマークイットによると、8月の英国の製造業PMIは52.8ポイント。7月から1ポイント低下し、過去25カ月で最低を記録した。分岐点の50ポイントは25カ月連続で超えている。
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