政府は24日、外国企業による国内企業の買収について、国家安全保障上の理由による審査を強化する計画を明らかにした。政府への通知が必要となる条件を厳格化することにより、より多くの案件を審査する方針。この結果、政府による介入件数は、従来の年平均1件から50件に増える見通しだ。
英国では2002年企業法により、売上高7,000万ポンドまたは市場シェア25%以上の企業の買収案件についてのみ、政府への通知が義務付けられている。ただ政府は今年6月、軍事および軍民両用、コンピューター・ハードウエア、量子技術の3分野については、売上高の下限を1,000万ポンドに引き下げる一時的措置を導入していた。背景には、規模が小さくても特殊な技術を持つ企業はサイバーセキュリティー上の脅威となる可能性が生じていることがある。
政府は今回さらに、運輸や通信、軍事など安全保障に関わる分野について、売上高や市場シェアの下限を撤廃する方針。売り手企業は、特定資産の50%以上あるいは株式の25%以上を売却する場合、政府への通知が必要となる。
この結果、政府への通知件数は年間200件に達する見通し。政府はこのうち100件を審査の対象とし、うち50件程度については政府の介入が必要になるとみている。多くの場合、条件を課すなどして最終的に取引を承認するが、中には買収を阻止するケースもあり得るとしている。また、政府の勧告に従わなかった場合、従来は民事上の不法行為と見なされていたが、今後は刑事犯罪と見なすとしている。
政府は10月16日まで意見公募を行った上で、法案を策定する。[M&A]
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