欧州委員会は24日、天然ガスで世界最大手の露ガスプロムが中東欧で欧州連合(EU)の競争法に違反した疑いを巡り、同社に義務付ける是正策を採択したと発表した。これにより、ガスプロムが罰金を免れることが正式に決まり、7年越しの問題にようやく決着がつく格好となる。
欧州委はこの問題で2011年に家宅捜索を実施。2012年に本格的な調査を開始し、2015年には同社に異議告知書を送付した。同委はこの中で、ガスプロムが中東欧のガス市場を分断し、一部のEU加盟国に対するガス価格を不当につり上げたり、取引先にガス輸送施設の独占使用を約束させていると指摘。同社はブルガリア、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、スロバキアの8カ国で競争法に違反したとの判断を示していた。
早期解決と罰金回避を望むガスプロムは、これを受け是正案を提示し、2017年3月には欧州委も和解に応じると発表していた。今回の是正策は同社が提示した案を関係者からの意見を元に修正したもので、同社は向こう8年にわたり順守を義務付けられる。
是正策はガスプロムに対し、◇再輸出の制限や消費区域の限定を排除し、中東欧各国のガス市場間の壁を除去すること◇ガス市場が他国とパイプライン接続されていないブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニアの4カ国に対しては、他国とのスワップ取引を促すことにより、孤立回避を促すこと◇ブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドに対するガス価格を西欧の標準価格に連動させ、120日以内に当事者間で価格の折り合いがつかない場合はEUの仲裁者が介入すること◇ガスパイプライン「サウスストリーム」敷設計画の中止に絡むブルガリアへの損害賠償請求を行わないこと――の4項目を義務付けている。[EU規制]
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