メイ首相は14日、イングランド南西部ソールズベリーで起きた元ロシア情報員(66)とその娘(33)の暗殺未遂事件を巡り、ロシア人外交官23人を国外追放するなどの報復措置を発表した。関与が疑われるロシアから期限までに信頼に足る説明がなかったため。
英政府は対象の23人を非公式の情報員と断定。1週間以内の国外退去を命じた。この規模の退去処分は過去30年超で初めて。メイ首相はまた、敵意ある国家活動に対する国防を強化するため、新たな法案を早急にまとめる方針を示した。他にも◇自家用機、税関、貨物の検査強化◇英国人・英国在住者の生命・財産に脅威を及ぼす可能性のあるロシア国有資産の凍結◇予定されていた両国間の閣僚級会合の延期◇ロシアで開催予定のサッカー・ワールドカップ(W杯)への英王室や閣僚の欠席――などの措置も明らかにした。
政府は今回の事件を巡り、ラブロフ露外相の訪英を要求している。
被害者のロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)のセルゲイ・スクリパル元大佐と娘のユリアさんは、現在も重体で入院中だ。事件で使用された神経剤はロシアが開発した「ノビチョク(Novichok)」とされ、イングランドの公衆衛生当局であるパブリックヘルス・イングランド(PHE)は先に、現場付近の2つの飲食店からノビチョクの痕跡が検出されたとして、事件前後にこれらの店を利用した人々に注意を呼び掛けていた。
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