独エネルギー大手エーオンは11日、同業RWEとの資産交換で基本合意したと発表した。エーオンがRWEからイノジー(Innogy)の株式76.8%とイノジーの送配電事業を獲得する一方、RWEはエーオン株16.67%を取得し、エーオンとイノジーの再生可能エネルギー事業を引き受ける。ドイツが脱原発政策に転換して以来、最大規模の業界再編となる。
エーオンは自社の再生可能エネルギー事業の大半と、子会社プロイセンエレクトラ(PreussenElektra)が保有するエムスラント(Emsland)およびグンドレミンゲン(Gundremmingen)の両原発の少数株をRWEに移管する。また、エーオンはイノジー買収後、イノジーの再生可能エネルギー事業とガス貯蔵事業をRWEに譲渡する。
エーオンは、イノジーの残り株1株当たり40ユーロで株式公開買い付け(TOB)を行う。また、20%の増資を通じてRWEに自社株を引き渡す。RWEは併せて、15億ユーロをエーオンに支払う。取引は両社の取締役会の承認を要するほか、欧州委員会や独連邦カルテル庁の調査対象となる可能性もある。
RWEは現在、石炭やガスによる火力発電への依存度が高いが、今回の取引によって再生可能エネルギーを織り交ぜた多様な電源を確保することになる。しかし、再生可能エネルギー事業はよりリスクが高く、競争も激しいため、関係者は安定度の高い送配電事業をさらに拡充できるエーオンにとってやや有利な取引だとみている。
RWEは2016年4月、将来性の高い再生可能エネルギー子会社RWEイノジーと送電・小売事業を新たにイノジーに統合して分離。エーオンも同年に火力・水力発電とエネルギー取引の各事業を新会社ウニパーとして分離していた。エーオンは今年1月、ウニパーの保有株46.65%をフィンランドのフォータムに売却することで合意している。
ドイツは福島第1原発の事故を受け、2022年までに原発を全廃する方針を決定。エネルギー政策の転換を推進するメルケル政権の下、風力発電や太陽光発電への切り替えが進んでいる。[M&A][環境ニュース][EU規制]
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