ドイツの第2党で中道左派の社会民主党(SPD)は9日、メルケル首相率いる第1党の中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立政権発足に向け、入閣候補者6人の顔ぶれを発表した。SPDが新たに獲得した財務相ポストにショルツ代理党首が就くほか、新外相にマース法務・消費者保護相が就任するなど、親欧州連合(EU)派の閣僚経験者が顔を並べている。
ショルツ新財務相は副首相を兼任する。同氏はEU統合促進を強く支持している。これまで財務相を務めてきたCDUのショイブレ氏は、財政均衡を至上命題とし、厳しい緊縮財政を敷いてきたが、SPDのショルツ氏が後任に就くことで方針が転換する可能性もある。CDU内には、連立の条件としてメルケル首相が財務相ポストをSPDに譲ったことへの不満も強い。
一方、マース新外相はユーロ圏解体と反難民を訴える「ドイツのための選択肢(AfD)」を強く批判していることで知られ、法務・消費者保護相時代にはソーシャルメディアでのヘイトスピーチの取り締まり強化や同性婚の合法化に尽力した。ただ、外交分野での実績はほとんどなく、EU域外各国との今後の外交方針は未知数。現外相でSPD前党首のガブリエル副首相は、再任を強く希望していたとされるが、ショルツ氏ら同党の新首脳陣がかねて同氏を強く批判していたこともあり、入閣を逃した。
なお、CDUは既に新閣僚候補を発表しており、姉妹政党CSUのゼーホーファー党首が内相に就くほか、CDUからはアルトマイヤー官房長官の新経済相就任や、フォンデアライエン国防相の留任、反メルケル派を率いる若手のシュパーン氏の保健相への起用が決まっている。
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