欧州委員会は2月28日、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた離脱条約の草案を公表した。アイルランドと英領北アイルランドの国境問題など、昨年12月に合意した第1段階の交渉内容を条約化したほか、EU離脱後に設ける移行期間についても記している。
草案は約120ページ、168条に及び、◇共通条件◇市民の権利◇分離条件◇移行期間◇財務条件◇組織的・最終条件の6部で構成される。これまでの交渉で妥結した内容に加え、まだ合意が形成されていない部分はEU側の意向が反映された。
アイルランドと北アイルランドの国境問題については、北アイルランドをEUの関税同盟と単一市場の一部と定め、「共通規制地域」とすることを提案。欧州委のバルニエ首席交渉官は記者会見で「北アイルランドでの国境管理の再導入を回避するため、想像力と創造性に富んだ解決法を思い付いた」と説明。新たな貿易協定の締結や税関での技術的解決法の適用など、英国寄りの案を巡っても議論に前向きな姿勢を示している。メイ英首相は共通規制地域の案について、「憲法上の一体性を脅かす」と反発している。
また、移行期間の期限はかねてEU側が主張していた2020年12月末とした。英政府は2019年3月29日に予定されるEU離脱の後、2年程度としつつ、具体的な期日を提示していなかったため。
加えて、ブレグジットを巡る条約内容の紛争解決は英国とEUの「共同委員会」によって行なわれるが、欧州司法裁判所に判断を付託できると定めている。これにも英国側から反発の声が上がっている。
草案は今後、EU理事会と欧州議会のブレグジット対策部会によって議論された後、英国に正式に送られる。欧州委は英国に対し、将来の関係性についてより明確な立場を示すよう要求。3月22~23日に予定される会談で、追加のガイドラインを盛り込む意向だ。[EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。