メルケル首相率いる第1党の中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と、第2党で中道左派の社会民主党(SPD)による連立交渉が7日朝、妥結した。医療保険制度や労働政策、防衛支出を巡って協議は最終段階で難航し、当初の予定から3日遅れでの合意となった。交渉の鍵となっていた閣僚ポストについては、SPDが外相と労働社会相に加え、新たに財務相の座を獲得する見込み。メルケル首相の4期目実現に向けて、残るハードルはSPDの党員による合意内容への投票のみとなった。BBC電子版などが伝えた。
連立協議では閣僚の割り当てが最後の関門となっていたが、SPDは国政の花形である財務相をはじめ、6つの閣僚ポストを得る見込み。財務、労働、外交という主要政策のかじ取りは、ドイツ国内のみならず、欧州や世界にも多大な影響を与えるため、SPDにとって大きな収穫となる。
特に財務相は過去8年にわたってCDUの重鎮であるショイブレ氏が務めていたが、連立協議を前に他党からポストの明け渡しを求める圧力が高まり、同氏は昨年10月、連邦議会(下院)議長に選出されたのを機に実質的に身を引いていた。財務相にはハンブルクのオーラフ・ショルツ市長が就任する見通し。SPDは財務省の権限を握り、今後はユーロ圏経済に対するドイツの支援を拡大することで、マクロン仏大統領が掲げる欧州連合(EU)改革に協調していくとみられる。
地元メディアによると、SPDのシュルツ党首は外相に就任する方針を示している。一方、CDUは経済・エネルギー相や国防相などのポストを引き続き確保し、姉妹政党CSUのゼーホーファー党首は内相に就く見通しだ。
SPDは今回の最終的な合意内容を約46万人の党員に再び諮る。投票によって合意内容が承認されれば、晴れてメルケル首相の4期目が実現する運び。この手続きには3週間前後かかり、順調に進めば3月末までに連立政権が発足する見込みだ。しかし、SPD党内には大連立への反対論も根強く、仮に否決されれば再選挙となる可能性が最も有力視されている。
ドイツでは、昨年9月の総選挙でCDU・CSUが246議席、SPDが153議席へと大きく議席を減らした一方、ユーロ圏解体と反難民を訴える「ドイツのための選択肢(AfD)」が94議席を獲得して第3党へと躍進。メルケル首相は、自由民主党(FDP)および緑の党との3党連立を模索したが破談に終わり、当初は連立に否定的だったSPDと再度手を組む方向で話し合いを進めていた。連立協議の期間は戦後最長を記録している。[労務]
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