英国と欧州連合(EU)の間で、ブレグジット後の制度激変を避ける移行期間を巡る交渉が開始される。これに向け、欧州委員会のバルニエ首席交渉官は5日訪英し、メイ首相およびデービスEU離脱相と会談した。一方、メイ首相はこれに先立ち、英国が離脱後にEU関税同盟にとどまることや、EUと新たな関税同盟を結ぶことを拒否する方針を示している。BBC電子版が伝えた。
EUは昨年12月に示した移行期間に関する交渉指針の中で、英国は移行期間中、EUの関税同盟および単一市場に参加し続けるのと引き換えに、「ヒト・モノ・カネ・サービス」の4つの移動の自由を受け入れるべきと明言。またこの間、英国はEUの法規制を順守し、予算拠出金も支払う義務がある一方、EUの意思決定には参加できないとの考えを示した。
これに対し英国側は、英国が新EU法に反対する権利を与えられるべきとしているほか、移行期間中に入国したEU移民に従来のEU移民と同じ権利を与えることには反対する意向を示している。EUと英国はこの移行期間について合意した上で、ブレグジット後の新たな通商関係の交渉に入る予定だ。
一方、首相広報官はこの日、メイ首相が離脱後に既存のEU関税同盟にとどまるつもりも、EUと新たに何らかの関税同盟を結ぶつもりもないことを明らかにした。産業界は関税や通関手続きを避けるため、EUとの関税同盟にとどまることを望んでいるが、保守党内のEU離脱派は、関税同盟を結べば第3国からの輸入品に対する関税率をEUと統一する必要があり、EU以外の国と自由な貿易協定を結べなくなるとして強く反発している。[EU規制]
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