ドイツ第2党で中道左派の社会民主党(SPD)は21日に党大会を開き、メルケル首相が率いる中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立協議を開始することを了承した。SPD党内には反対論も根強く、予想より僅差での承認となったが、メルケル首相の4期目実現に向けて状況はさらに一歩前進した格好だ。BBC電子版などが伝えた。
SPDは4時間以上にわたる議論を経て、645人の代表者による投票を実施。うち362人がCDU・CSUとの連立協議入りを支持した。今後は、双方の執行部の間で既に妥結している予備協議の内容に基づき交渉が進められる見通し。なおシュルツ党首は、最終的な連立合意の内容を再び党員に諮ると約束しており、新政権の誕生は3月以降になるとみられている。
今回の投票結果は党関係者の予想より僅差となり、SPD党内の亀裂の深さを物語るものとなった。SPDの支持率は低下傾向にあり、多くの党員がCDU・CSUの従属的なパートナーに成り下がることを批判していたほか、再び大連立を組むことでさらに立場が弱まることを懸念する声も上がっていた。
SPDのシュルツ党首や執行部メンバーは党大会に先立ち、党内の反対派の説得に奔走。CDU・CSUとの連立協議に代わるより良い選択肢はないとしたほか、社会福祉やインフラ整備への大幅な支出拡大を約束した予備協議の内容はSPDの要求を十分に満たすものだと主張していた。
なお予備協議では、国内への難民流入数を年間約20万人に抑制することでも合意している。既にドイツに定住している家族に合流できる移民の数は月間1,000人を上限とする考えだ。
ドイツでは、昨年9月の総選挙でCDU・CSUが246議席、SPDが153議席へと大きく議席を減らした一方、ユーロ圏解体と反難民を訴える「ドイツのための選択肢(AfD)」が94議席を獲得して第3党へと躍進。メルケル首相は、自由民主党(FDP)および緑の党との3党連立を模索したが破談に終わり、当初は連立に否定的だったSPDと再度手を組む方向で話し合いを進めている。連立協議の期間は戦後最長を記録している。
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