イスラエルのネタニヤフ首相は11日、ブリュッセルを訪問し欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)と会談した。同首相は、6日にトランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことについて、欧州各国もこれに追随し在外公館をエルサレムに移転するよう求めたが、モゲリーニ氏はこれを退けた。BBC電子版などが伝えた。
イスラエルの首相によるEU本部訪問は22年ぶり。ネタニヤフ首相は、「欧州の大半の国が大使館をエルサレムに移し、エルサレムをイスラエルの首都として認め、安全と繁栄、平和に向けわれわれと協力すると信じている」と表明した。これに対してモゲリーニ氏は、EUは引き続き国際的合意を尊重するとして、「イスラエルとパレスチナの紛争で唯一の現実的な解決は、エルサレムが両国の首都であることに基づく」と答えた。
イスラエルはエルサレムを首都と定めているが、地域紛争の引き金になるとして国際的な承認は得られておらず、各国は最大都市テルアビブに在外公館を置いている。一方のパレスチナ自治政府も国家樹立後の首都を東エルサレムに置くと主張しており、最終的な帰属は和平協定で決定されることになっている。 こうした中、トランプ大統領は大統領選の公約でエルサレムへの大使館移転を掲げており、これを履行した格好。同地を首都と認定するのは米国が初めてで、地域の不安定化を招くとの批判が相次いでいる。
なお、8日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合では、英国、フランス、ドイツ、スウェーデン、イタリアの5カ国が共同声明を発表し、米国の決定はパレスチナの和平の見通しの助けにならないと非難。米国に対し、同地域の和平に向けた具体的な提案を示すよう求めた。
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