英政府は、欧州連合(EU)離脱後にEUと無関税の自由貿易協定を締結することを望んでいるもようだ。EU・カナダ間の包括的経済貿易協定(CETA)の拡大版を想定しているという。デービスEU離脱相が10日、英公共放送BBCのインタビューで明らかにした。
CETAは、EUとカナダが昨年10月に正式調印。今年9月に暫定発効し、EU・カナダ間で取引される製品の98%で、関税が撤廃された。同相は英政府の目指す貿易協定のあり方を「カナダ+++(プラス・プラス・プラス)」と表現。金融をはじめとするサービス業も対象に含めるなど、CETAよりも大幅に広範囲な協定を結ぶ意向を示した。
同相は、8日に英国とEUが離脱条件で大筋合意し、ブレグジット後の通商関係を巡る次段階の協議が開始される見通しとなったことを受け、英国が貿易に関する何の取り決めもなしにEUを離脱する可能性は「急激に低下した」との見方を示した。
今後のEUとの通商協議については、「英国独自の自由貿易協定をとりまとめたい」とした上で、「おそらくカナダ型協定の一番良いところと、日本型や韓国型の一番良いところを出発点とし、そこに欠けているサービス業を付け足していく形になる」との見方を示している。CETAは交渉開始から調印までに7年を要したが、EUと英国は基準が一致しているため、「交渉はさほど複雑ではない」と話す。
EUとの自由貿易協定の正式な調印は、2019年3月に英国が正式にEUを離脱した後となるが、企業により高い確実性を提供したいメイ首相は、特に貿易協定のタイプについてEUと交渉を開始することに意欲を示している。ただロイター通信によると、EUの対英交渉のガイドラインでは、法的拘束力のある貿易交渉は英国の正式なEU離脱後に行うと定めている。[EU規制]
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