デービス欧州連合(EU)離脱相は13日夕、EUとの離脱交渉の最終結果について、議会に投票の機会を与える方針を示した。EU在住の英国民の権利や、英国のEU拠出金の精算額、ブレグジットによる制度の激変を避けるための移行期間を巡る交渉結果の是非を問う。交渉の行方に懸念を抱く与党・保守党内の親EU派の造反を避ける狙いだが、党内外から既に譲歩が不十分との不満の声が上がっている。ガーディアンなどが伝えた。
同相は、EUとの最終合意内容を実施するための法案を議会に提出する方針。ただ、これが否決されてもEUとの再交渉は行わず、英国が2019年3月29日にEUを離脱すること自体にも変更はないため、英国は合意のないままEUを離脱することになる。
デービスEU離脱相の譲歩には、現在、議会で審議されているEU離脱法案を巡り、党内の造反を回避する狙いがある。党内外の親EU派からは同法案への修正案が470件以上も提出されている。そのうちの1人で、EUとの最終合意を巡る議会承認を義務付ける修正案を提出している保守党のドミニク・グリーブ下院議員は、デービス氏の提案について「合意なしでEUを離脱するハードブレグジットに持ち込むための無意味な法案で、譲歩とは言えない」と批判。自らの修正案を撤回するつもりはないとしている。
EU離脱法案を巡っては先にメイ首相が、2019年3月29日午後11時に英国がEUを離脱すると明記する修正案を提示した。与党・保守党内のEU離脱派には歓迎されているが、最大野党・労働党のスターマー影のEU離脱相は、「移行期間の設置を妨げるもので、国益に反する」と反発。この修正案が撤回されなければ、労働党は離脱法案に反対票を投じると警告している。
EU離脱法案は9月に下院での第2読会が終了。11月14日からは下院委員会での審議が始まっている。委員会審議は2度に分けて計8日間行われ、その結果報告を経て第3読会に進む見通し。上院での審議を終え、エリザベス女王の承認が得られるのはかなり先となりそうだ。
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